3連休の最終日、やっと1日空いた。梅田にまつ毛パーマの予約を入れる。本当はさっさと眼瞼下垂症の手術をしてまぶたを引き上げたいけれど、しばらく腫れるので人前に出る仕事である以上なかなかできない。
まつ毛パーマをすると、少しは眠たそうな目がごまかせる。朝の数分、ビューラーを使う手間を端折る理由もある。
化粧も家事も育児もしない年配の男性陣と同じ土俵で評価される理不尽さは、社会に出てからずっと感じている。それなら一切の化粧を止めれば、と言うだろうけれど男性だけでなく女性の目もある。SNSで外見を値踏みし合う若者は、もっと辛そうだ。
橋下市長の号令の下、初めて大阪市が採用した11人の民間人校長のうち女性は私ひとりだった。研修の時、隣の席にいた元ホテルマンに、マニキュアを塗ってないことを叱られた。別の人は「まぁ、女性の一人もいないとね。女性枠だね」と酒の席で私を揶揄した。その人達は、任期の3年持たずに経歴詐称やセクハラで消えていった。
まつ毛パーマをされながら、ベッドで目をつぶっていると過去が巡る。いつもよりパーマ液の匂いがきつくて、眠れないせいかもしれない。
梅田に出る、と言ったら家族が一緒に来たので落ち合う。くるん、と上がったまつ毛を「私もしたい」と娘にうらやましがられる。
家族でうどんを食べ、NU茶屋町のアニメイトとタワレコを巡る。jo0jiのアルバムはちゃんと飾られているだろうかと探し、売り切れていた。嬉しい。私の小さな夢は、彼の歌に街の中で出会うことだ。その日はRADWINPSの「ワールドエンドガールフレンド」が降ってきた。
「この街も人もビルも瓦礫と化す いつの日か/そう思えば廃墟前夜すべてが煌めいている」
成人式が今日の区もあり、すれ違った振り袖の刺繍がきらきらしていた。もう少しマシな未来を手渡すつもりだけどな、と子を持つ親として思う。
疲れた息子とゆる夫は先に帰り、娘がまだ街歩きしたいと言うので雑貨屋を覗き、レゴの作品に驚き、手芸屋で必要なパーツを探す。腕にしているスマートウォッチは、8000歩になるとブルっと震える。合図と共に、寒気がしてきた。
帰って今日の分の洗濯は諦めて、葛根湯を飲んで2時間ほど寝たらマシになった。夕食はゆる夫が全部してくれている。昨日は幼なじみと飲み屋をハシゴしたあげく、今宮戎で夜店巡りをしていたらしい。還暦近いのに、中学生男子のようだ。
少し元気になったので、ご飯を食べてお風呂に入る。1週間以上、格闘している『15分都市の実践』を諦めて、『これ描いて死ね』の7巻を読み直してから最新刊を読む。
漫画やアニメを描いて生きていくかもしれない娘にずっと読んでほしくて、彼女の寝室に面陳してるけれどなかなか読んでくれない。
挑戦、挫折、努力、仲間。
ベタな青春に諦めきった大人達が触発され、変わっていく。寄り添うのでもなく、導くのでもなく。
読後感に浸っていたら、卒業制作のワンピースを縫っている娘から、「『奥まつりをまつる』ってカッコよくない?」と言われて笑ってしまった。洋裁本の指示にあったそうだ。
思ったことをそのまま口に出す娘は、ちょっとだけ生きるのに苦労するかもしれないけれど、そばにいる私は面白いなと思っている。そのセンスで読んだ感想を聞きたいから、早く漫画を読んでほしい。アニメ化の、7月までに。
夏、私はどうしてるんだろう。
できる努力はするかと、1週間の予定を確認してカバンの中身を整え、別の仕事の本を少し読んで寝た。
あと77日。

