仕事の無い休日。ああこれが、あと3週間もすれば思いっきり手に入る。その解放感より、アレもコレも残したい伝えたい引き継ぎたいと焦る。
早めに起きて、こんまりの片づけドキュメンタリーの3話を見ながら仕事をする。荷物を置いて家を出た成人の子どもたちに「片づけんかい」と腹を立て、夫に先立たれた妻(母親)が1人で怒涛の片づけをしている姿に同情する。私も絶対こうなる。
4月の模様替えに備えた断捨離を家族LINEのノートに書いて送ったのに、誰もやろうとしない。
番組では片づけが進むにつれ、60代と思われる彼女がどんどん明るく、美しくなっていくのが印象的だった。だから私は、自分のためにやる。
家の中には、もう本や仕事の書類が収まらない。出版エージェントの担当者には企画を持って動いてもらっている。ニッチなテーマだが、出してくれる出版社が見つかれば集中して書く仕事場がほしい。シェアオフィスは本が置けないし、ただの部屋を借りても面白くない。スナックビルの一部屋を押さえた。
先日申し込んだ物件に、中古の厨房機器と内装会社を呼んだ。ゆる夫にも立ち会ってもらったが、そう言えば昔、カラオケボックスをシアターにリノベーションする事業を起こした時も見積もりの時にボンヤリしていて「寝てんの?」と私に怒られていた。
今日も呆然と立っていて、私一人であちこち測ってるのを指示されるまで動かず、内装業者との話も他人事で、遠い目をしている。
私がやることに呆れているのかと帰りに聞いたら、「あの世間知らずのオカンでさえ、喫茶店やってたからな。2年ほどでつぶれたけど」と水を差すエピソードを出してきて、また私を怒らせていた。
若い時の起業は、夢を語りあって始めた。今回は、というより民間人校長も区長もみんな事後報告に近かった。大阪市に蹴られた時も、転職がうまく行かない時も、私を慰めもしなかった。
逆に言えば、何をしても無関心だから、今があるし好きにやれるとも言える。俺もお金を出すからギターやゴジラのフィギュアを置けと言われるより、ずっとマシかもしれない。
使えそうな厨房機器や内装のお願いしたいところを見てもらい、見積もりをお願いする。残置されていたイスは雰囲気に合わないから変えたいと言ったら、万博で使ってたイスがたくさんあるけど、と担当の人が言った。
万博に25回行き万博コーデを自作して満喫した私にとって、運命的な一言。「ホンマですか?ミャク市で何も買えなかったんですよ」と急にテンションが上がる。なんば店に置いてあるよとのことで、行きます帰ってから自転車で行きます!と約束する。
家に戻る前に、娘にこれから帰るけどお昼どうする?と聞いたら「にゅうめん食べたい」と返ってきた。それぐらい自分で作って食べてよ、と打ちかけたのを我慢する。麺の場所も知らんし、作り方教えてないしな。帰ってすぐパジャマのままの娘をコタツから引っ張り出し、卵とほうれん草の入ったにゅうめんの作り方を教えた。
娘は歯の矯正を小学生の時から続けており、ゆる夫が前に住んでいた吹田市の歯医者まで連れていく。そこで別れて、ゆる夫は実家の売却が3ヶ月経っても決まらなかったので業者を変える手続きに行った。息子は吹奏楽の他校との合同練習へ。
娘とは夕方に梅田のヨドバシで落ち合うことにして、なんばの中古厨房機器の店に自転車で行った。
カウンター下の冷蔵庫と製氷器、冷凍庫を中古で探す。本格的な料理をする気は無いので、業務用のガスコンロは断った。万博会場で使われていたというイスは、グレーで軽い。樹脂製の安っぽさは否めず迷うが、コストも安いし「万博会場にあった」がキラーワードになっており、買うことにした。
西ゲート近くの屋外にあった大きめのテーブルも、安く売られていた。90台ほどあるそうだ。仕事机にほしい。でも大きい。今も悩んでいる。万博マニアに伝えたら欲しがる人がいるだろうと思い、許可を取ってSNSに投稿した。
イスがどこにあったかわかる万博民の方ぜひ教えて、とつぶやいたら「西ゲート近くのレストラン」と返ってきて、大阪観光局の当時の投稿写真で確認できた。中国の物産展のような謎スペースの横にあったフードコートだ。あの半年、酷暑とハードワークに耐えたイス、私の城へいらっしゃい。
買い物を終え、30分だけ1人カラオケに寄る。明日の演芸大会で歌う曲、加齢でハイトーンが出づらくなってるので一応歌っておく。なんでそんな真面目やねん、と思われそうだが、本当に声はトレーニングしないと老ける。セミナー講師として年間80本、1回の講演が短くても90分、長ければ丸一日という日々を過ごしていた頃は、ボイトレに通っていた。元の仕事に戻るための、リハビリもある。
課題曲を歌ったついでにちゃんみな師匠を歌い、ミセスの高音に苦しみ、もう出ないとアカンけど気分的にコレ歌いたいと「はいよろこんで」を歌う。こっちのけんと、声がいい。歌詞も、責任感の強い人が追い込まれるギリギリ感が身に迫る。
♪怒り抱いても 優しさが勝つ あなたの 欠けたところが希望 ♪
歌に救われて、私は今日も欠けたまま生きていく。
少しスッキリして、自転車置き場に行く。私の入れ替わりに停めた人に、見覚えがある。生野区時代の、再編対象校の校長先生だった方だ。今は校長では無いけれど、違う形で学校現場にいるそうで嬉しくなる。
家に自転車を置き、梅田に移動する。娘とヨドバシカメラで学校指定のペンタブレットを買う。高い。指定のパソコンは見つからず。ネットで注文するしか無さそうだ。ヨドバシのポイントで少しコストを下げる予定が狂う。
娘の要求で阪急三番街の端っこにあるユザワヤへ行き、阪急百貨店まで戻ってデパ地下を回って夕食を買う。何年も使わず貯まっていた商品券を使い、普段は買わないようなサラダやお惣菜を買って帰り、味噌汁だけ作った。
EIGHT-JAMの「最強のサビランキング」を見ながら食べていて、それぞれ知ってる曲が出てくると饒舌になる。戸川純を語れる娘に驚く。「不思議なピーチパイ」も歌ってた。
オカアチャンは「部屋とYシャツと私」を何年ぶりかに聴き、学生時代に憧れていた「結婚」や「夫婦」とちゃうなとつぶやいてしまった。部屋も磨いてないし、ゆる夫に至ってはYシャツほぼ着ない。
ある日、ゆる夫が葬儀に出るのに慌ててシャツを買って着ていった。帰ってきて洗濯しようと私が手に取ったら、衿元から型崩れ防止のボール紙が出てきた。つけたまま着てたんかい。「なんか首が詰まるシャツやなと思ってた」そうだ。
雑然とした部屋を片づけたい衝動を抑え、パソコンに向かう。港中と築港中の生徒が作ってくれた「港区を楽しむツアー」をチラシにする。クルーズ船に乗ってきた外国の人に、実際に渡す予定だ。
デザインACで作りかけ、モノクロで作った方が汎用性が高そうだとパワポで作ることにした。まず日本語で作った後、英語・中国語・韓国語版は作りたい。方針を決めるのに、時間がかかってしまった。できたチラシデータをAIに入れ、各言語版を作ってと言えば出るだろうか。
0時近くなり、梅田を歩き回った疲れで眠い。パソコンを閉じて、万博のテーブルとイスの投稿が軽くバズってるのにビビって寝た。
あと24日。

