ハードな1日になるのはわかっているので、布団でグズる。イベントでの挨拶はあるが、途中で「港区防災ロゲイニング」で114分走らないといけないので、動ける服装を選ぶ。こういう時、オシャレなジャージで出掛けられる人になりたかったなと思う。
小学校の現場に行ったのは、春休みだった。先生たちは、出勤するとジャージに着替え、そのままお昼を食べに町に出て行く。3年間最後まで、慣れなかった。運動部に無縁だったせいかもしれん。
ベッドを出ると、まだ寒い。そうだ、冬用万博コーデに、赤と青のビーズを縫い留めて作ったハイネックのフリースがある。それとジーンズ、万博で履き倒した赤と青の靴紐のスニーカーで出ていった。ダウンを着ると走りにくそうだし、トレンチコートは違うだろうとぺらぺらのカジュアルコートを羽織った。
このせいで、1日寒さに震える結果になるので、朝の私に「邪魔でもダウンを着ろ」と言ってやりたい。
最初は市岡商業高校跡地の「ガレージ BENTEN」で挨拶をする。レトロ可愛いの、カッコイイの、渋いの、クラシックカーが運動場にずらりと並んでいる。港区のものづくり企業の展示もあり、部品が無くなってしまったクラシックカーのメンテナンスに、港区の町工場が挑むという新たな物語が始まっている。
区役所もLINE会員の登録ブースを出して、がんばっていた。私は集客のためにSNSに投稿し、売り上げに貢献すべくキッチンカーのオムライスとバナナジュースとコーヒーを頼んだ。
お腹いっぱいになって、自分がこれから114分の運動をすることを思い出す。しまった。胃が少し気持ち悪い。
べんてんひろばに立ち寄ると、築港の「創作寿司ひかり」オーナーの牧さんがMCとしてガンガン場を盛り上げていて、人が次々と入ってくる。出店者・出演者集めから、がんばっていた。「港晴フラガールズ」との記念写真に急遽呼び出され、収まる。
次は区民センターの「港区防災ロゲイニング」に行く。南海トラフ巨大地震が起きてから、津波が港区に到達するまで「114分」。
この時間内に、港区内の指定された防災に関する記念碑や避難所を回り、津波避難ビルのピクトグラムをできるだけたくさん撮影し、高得点を競う。
私はこの2年、走れる磯村副区長にロゲイニングでは毎回「表彰するだけの人」をやらされてきたので、今日は悲願である「副区長に表彰される人」になりたい。挨拶でも「あの青い帽子の人を邪魔していただいて結構です」と笑いを取り、策を練った。
それ以前に、スポットで必須の写真撮影に使うスマホの充電が切れそう。バッテリーも空っぽだったので家に置いてきてしまった。「めちゃくちゃ言いにくいねんけど、モバイルバッテリーある?」「勝負以前の話ですやん」と、いきなり借りを作ってしまった。50%まで充電。なんとかなりそう。
副区長はランナーの正装で出ていったので、築港の高得点エリアを回ってくるんだろう。私は港晴の端っこまで行き、田中小学校の方を回って戻るプランでスタートした。途中に市営住宅がたくさんあるので、津波避難ビルの看板でポイントを重ねる。
同時にスタートした参加者と前後したり再会したり、走ったり歩いたり。寒かったのに、汗ばんでくる。想定外だったのは、津波避難ビルの表記がなかなか見つからないことだ。市営住宅なのに、直感的にわかる位置に貼られていない。
ピクトグラムを探してムダにぐるぐる市営住宅の中をさまよい、時間がヤバくなってきたので諦めてゴールを目指した。改善を依頼しないと、と苦しい息で思う。
リミット数分前にゴールをして、クイズの答えやスポットの写真をチェックしてもらう。
結果が出るまでの間、まだ息があがっているのに「力持ちMAP」の説明をステージの上でする。区民の方に防災の話をする最後と思うと、疲れはあっても少し気合いが入った。
結果が発表になり、ぶっちぎりで優勝した副区長にブーイングをしながら表彰し、まぁ仕方ないなと思っていたら、私も5位に入っていた。無理だと思っていたので大喜びで、副区長から賞品を受け取る。
こうしたイベントは義務感で参加するより、参加者になって全力で楽しんだ方がいい。毎回、本気で港区を疾走する副区長の姿も、区民のみなさんに好ましく映っていただろうと思う。貼り出された各自の点数表、副区長の脚の速さに地域の方が感心していた。
他にも課長が数名参加してくれて、嬉しかった。港区の新たな景色に、気づいてくれたら嬉しい。
賞品の耐震突っ張り棒を抱え、べんてんひろばに戻る。ますます人が増えていて、マイケルジャクソンのダンスを多世代が繰り広げている。ゾンビも会場をうろうろ。
合間に、一緒に万博のアリーナに立ったテーマパークダンサーズスタジオの村上代表に再会する。あの夏、「港区×コスプレカルチャー」の発信のため、デカいステージの演出や指導をやりきってくださった。「チェンソーマン」のコスプレステージの衣装で、べんてんひろばを闊歩していた。
私も挨拶をする場面があり、「港区の万博の本番はこれからです」とJRの開設したべんてんひろばが活性化すること、盛り上げるのは区民のみなさん自身であることを伝え、任期終わりの花束をいただいてステージを降りた。
今日の役目が、やっと終わった。そして、スマホの充電がレンタル充電器の前できれた。登録用のQRコード、読まれへんやん。
泣く泣くコンビニで乾電池式の充電機を買う。この2,000円ちょっとは痛いのに、スーダンのブースで見つけた1,000円の猫を3匹買うのは躊躇しない。万博会場でついに買えなかった子に、べんてんひろばで出会ってしまった。仕方ない。1匹は娘の染めた髪色に似ていて、お土産に買った。
日本酒好きの課長とブースにあった「立山」を飲み、汗で濡れた服が冷えて寒さにやられていた私はお燗にしてもらう。アテも目の前にあった豚汁を右手に、左手の日本酒と交互に飲んで笑われる。寒いねん。
それでもなかなか身体が温まらず、ステージをいくつか見て帰った。牧さんはまだ、フルスロットルでMCを続けていた。すごい。深夜にお礼のメッセージが来ていた。
家は娘とゆる夫が生成した段ボールが増えていて、見ただけで疲れる。葛根湯を飲み、お風呂に入り、少し休ませてと布団に潜り込んだ。
1時間ほどして、子どもたちを構っていない罪悪感もあって起きる。『リブート』観ようかと息子に声をかけて、一層ややこしくなった話をほどく元気もなく眺めていた。
娘とは先週の『豊臣兄弟!』をやっと観る。忍たまオタクな娘は、軍師が何かわかっていて楽しそうだ。仲野太賀の透き通った眼に、今回もやられる。
疲労がピークで、アラームだけやっとの思いで設定して寝た。
あと17日。

