2026年3月17日(火)

 結局、この3ヶ月で痩せなかったので着られるスーツが限られている。そろそろクリーニング出したいなと思いながら、今週も同じスーツを登板させる。自転車で出勤し、少し寒さが温んだのを感じた。

 今日は城東区民ホールで、消防表彰がある。昨日会ったところの24区長も全員来ていて、お別れの挨拶をしたのになんだか恥ずかしい。

 式典の後、集合写真を各区で撮る。港区だけ、水上消防署もあるので2回撮った。

 港区の方、生野区の人、浪速区のご近所さん。いろんな人に会って、立ち話をした。

 区民センターと区役所の合築で新しい。掲示物やスペースの使い方など、他の区役所を見るのは勉強になる。もう残り2週間やのに真面目やな、と写真を撮ってから思った。

 ちょっとしたトラブルがあり、区役所に戻ったら昼休みが終わりかけていた。

 区長室に登るエレベーターで一緒になった職員が、言いにくそうに、でも笑いを浮かべて尋ねてきた。

「最後の広報紙の写真……みんなで言ってたんですけど……修正してますか?」

 胸がギュッとちぢんだ。

「修正はしてないけど、プロが照明バチバチで撮ってくれたから……」

「あ、そうなんですね」

「盛れ過ぎちゃってごめんなさい」

 信じてくれたかどうかはともかく、彼女は先にエレベーターを降りた。

 ああ、「みんな」で広報紙を取り囲み「実物と違い過ぎ」「修正キッツw」とか言ってるんだろうなと妄想が広がってしまう。今後、仕事で使っていざ対面した時にクライアントに同じように思われるんだろうな。使うのやめようか、ぐらぐらする。

 ルッキズムに屈するな、ごもっとも。超越したい。いつだって。できりゃ苦労しない。数年に一度、スタジオでプロフィール写真を撮り直す。確かに、前の写真より若く見えてしまっている。

鏡を見ると、連日の送別会の酒と過労と加齢で、むくんだアゴのラインとたるんだまぶた。言ってくれたのは「親切」なのか「残酷」なのか。

 そもそも女をやり続けるのがしんどいわ。50過ぎてから、どうやって歳を取っていいかわからない。服装もメイクも、最近しっくり来ない。

気分が落ちたまま、仕事に戻る。しばらくして、港区女性会の会議に呼ばれた。

 お別れの挨拶をして、大きな花束をいただき、みんなで記念写真を撮る。港区初の女性区長だったのも重なって、何かと声をかけてくださっていた。笑顔が素敵な人ばかり。やさしい拍手で見送られる。お元気で、また必ず。

 区長室に戻り、決裁やメールを始末して時間休を取って家に帰る。持って帰った花束に、紫のバラがあってガラかめ好きの娘が喜んでいた。

 帰ったのは通院のため。更年期障害で、ホルモン剤を2日に1度貼り替え、錠剤を毎晩飲む。貼り替えをよく忘れ、錠剤が先に無くなって3日ほど。調子が悪くなってきたので、天王寺の婦人科に行く。ホルモン治療を始めてから、4年になる。こんなこと、いつまで続けるんだろう。

 思春期から生理が始まって受験だなんだと悩まされ、出産と育児でキャリアの停滞は避けられず、いざ管理職という年齢で更年期障害。まいにち難儀なことばかり、と朝ドラの曲が頭に流れてくる。待ち時間に読むはずの本も、老眼鏡を忘れて読めなかった。

 1時間近く待ち、診察は1分で終わり、1ヶ月分の薬をもらう。

 カフェで時間をつぶして、そのまま夜の小さな送別会に行きたかったが、電車でもう一度、家に帰った。雑務は公私共にキリなくある。書類を片づけ、メールを送り、セミナー会社に送った写真を差し替えようか悩む。

 コタツでパジャマのまま絵を描いている娘を見ると、肌がつやつやでうらやましい。可愛い、と親心が混ざって少し眺めてしまう。部屋の片づけもしてやと声をかけ、再び出かけた。

 谷町四丁目の「立葵」という初めてのお店で、日本酒と魚釣りが好きな人の集まり。生野区時代に仕事で絡んでいたこともあり、近況や今後のことを話しながらセルフで何種類も日本酒を飲み、控えるつもりが4種類は飲んでしまった。

 女将さんは1人で店を回しており、帰り際に聞くと「日本酒好きで、若い時は酒に溺れて恋も友情も失い、その挙句にこの店をやっている」と笑っていて、カッコよかった。

 魚釣り情報も交わして解散した。私は、もう息子が付き合ってくれないので、釣り竿は処分予定だ。お互いの健康を祈って手を振る。楽しかった。退職者が2人、残りの2人にお祝いしてもらって、感謝。

 帰って「ばけばけ」で老いたヘブン先生が私と同じように無職になり、焦って転職活動をして自分の存在意義を見失っていた。わかるよ。わかる。

「ベストセラーを書け」と義父に励まされ、笑顔を取り戻していた。私はまだ、笑えない。

 ゆる夫が風邪気味だけど薬あったかな……と、いつまでもコタツから出ずつぶやくだけなのに腹を立て、探して渡して寝た。

 あと15日。

 

 

婦人科で見つけた大阪市のチラシ。女は難儀なことばかり。