朝イチで、息子の額に手をやる。汗で湿ってはいたが、下がっているようだ。念のため、今日の部活は休んで様子を見ることにする。
3連休、もう関係ない。11時から「こどもパラダイス」の挨拶に出向く。しつこく「万博レガシーは未来と世界にふれた子どもたち、彼らが希望を持てる社会とまちにしましょう」と呼びかけ、「力持ちマップ」の案内もする。
もう残り少ないね、さびしいわと、いろんな方に声をかけていただく。磯路地域の出している射的「磯路パキュン」に100円を払って参加し、3発中2発当ててうまい棒を1本もらった。
副区長を誘ってドコモのラグビーチームが出しているブースで玉入れ対決をし、あっさり負ける。駄菓子屋ブースの200円くじで「ポテトフライ20個入り」を当てる。元は取った。
弁天町に工場があるので出ている「今井のきつねうどん」を食べ、アクセサリー作りのワークショップを出しているお店からピアスを買い、満喫して帰った。
「どうせなら楽しむ」姿勢、スイッチの入れ方がうまくなった区長としての9年間だった。
帰って娘となんばマルイに出かける。「50周年記念 ガラスの仮面原画展」に合わせて、娘は紫のバラのネイルとピアス、「おらぁトキだ!」の泥まんじゅうを食べるマヤのTシャツを着ている徹底ぶり。
小4の時、40周年記念のガラスの仮面展に京都まで行った。あれから新刊が1巻も出ていないことに怒りつつ、原画の間の台詞を言いまくり、コマ割りに感心し、自らも「描く人」に成長した視点で興奮していた。
年に1回は読み返しているらしい。「なんなら美内先生のアシスタントになって最後まで私が描く」と言っていた。がんばれ。
10年ぶりの展覧会とあって、グッズを買い込んでしまう。「二人の王女」のオーディション場面、「毒」のマヤが描かれたTシャツを買わされた。
その後、なんばパークスまで移動して「ウィキッド」の後編を観る。「オズの魔法使い」をおぼろげにしか知らないので、前編の復習と共に見ておけばよかったと少し後悔。
アリアナ・グランデ演じるグリンダがとにかく可愛い。そしてエルファヴァを演じるシンシア・エリヴォの苦悩、そして恋の甘さを乗せた歌声の変化に浸る。
ハッピーエンドも、別の登場人物から見れば悲劇であり、敵にも背景があり人生がある。当たり前のことを、容赦なく。「オズの魔法使い」のバックストーリーとして、辻褄を合わせながら書いた原作者のアイデアに感心する。二次創作みたいなものだろうか。
私自身の生い立ちも、視点が変われば全く違う話になる。
私は生みの親に10ヵ月で捨てられたと思っているが、彼女は実父が返してくれなかったと主張している。本当のことはわからない。ただ、一番辛い幼少期に探しにも助けにも来んかったやん、という私視点の悲劇が手元にあるだけだ。
実姉によると、まだ存命の母は自分側の物語を語る機会が欲しそうだが、申し訳ないが聞く気はない。私にとって初めて会う人から、どんな顔をして「そちらの悲劇」を聞いていればいいのか。そのシチュエーションを想像するだけで、戸惑う。
実姉は2歳で別れて探しも助けも養育費を払いもしなかった実父に会いたがり、50年ぶりに私が同行して会わせた。父親は被害者ぶって、実母が男を作って出て行った話を意気揚々と二人の娘の前でした。
それ以来、会わせてないし私も会っていない。今、生きているかどうかも知らない。
「オズの魔法使い」では絶対悪だった登場人物が、「ウィキッド」では正義の人となる。そして悪は世論で作られる。アンテナを尖らせておかなければ。夜に見た「山田轟法律事務所」でも、似た部分があった。
映画の後、娘と感想を言いながらまちを歩く。大学で使うカバンを探し、2人ともペラペラの上着で来たので寒さをしのげるアイテムが安売りされてないか見る。何もなく、寒さに震えて何軒かの店をのぞき、満席で諦め、初めて入るイタリアンでピザとパスタを食べた。そら豆と生ハムのピザ、美味しかった。
ピザを前にした娘を家族LINEに送ったら、「こっちもピザやで」とでかいピザの写真が来た。息子リクエストとのことで、風邪は治ったようだ。明日の最後の発表会に出ると聞いて、父娘に撮影を依頼した。私は仕事と重なる時間で、行けない。
帰って「虎に翼」のスピンオフ、「山田轟法律事務所」を観る。いつもは目の前にパソコンを置いて日記やメールを打ちながらテレビを観ていることが多いが、集中して観る。扱うテーマの重さに、目も思考も逸らすことができなかった。簡単にわかった風な論評は書けない。「クソな世の中」はまだ続いていて、申し訳なくもなる。
ずっと怒っているよねさん、あなたが少しでも微笑むと、うれしくなるのはなぜだろう。登場人物たちも、きっとそう思って支えていたと信じられる、土居志央梨の透明感とひそやかな表情の演技。「正しく怒り続ける」人の美しさが余韻となり、今も響いている。
SNSで「虎に翼」の脚本家の言葉を見かけた。
「協調性を持つとか、場を和ませるとか、許すとか、大人の素敵な女性と思われがちだけど、怒る女性のほうが素敵じゃないか」
最近の仕事で出会った理不尽を思い出し、どうすれば「正しく怒れる」だろうと思い、まだこの組織に怒る気がある自分に呆れて寝た。
あと12日。

