今日はザ・リッツカールトンの高級クルーズ船「ルミナーラ」が大阪港に初入港なので、パスポートを持って出かける。何度か体験したが、11泊230万円が最も低価格帯というラグジュアリー船、一生お客として乗ることは無いだろう。
荷物は天保山客船ターミナルの事務所に置かせてもらい、スマホとパスポートだけ持って乗船する。クルーズ船の中は「外国」という扱いなのも、港区長になって知った。
女性用スーツはポケットが浅くスマホを入れる場所に難儀するが、今日も港区のテーラーコマサで作った別のスーツを着ている。ジャケットの裏に隠しポケットを作ってくれていて、スマホを入れてもそれほどラインが崩れない。職人技。
海をイメージした落ち着いたライトブルーのストライプ生地、高かったけれど万博や区制100周年で人前に出るために誂えた。今日も高級船に負けないよう、気合いを入れて着る。
しかし中身が全く伴わない。担当課長が歓迎式で渡すお土産を持ってきてくれて、それを渡す役目あるものの、「ウェルカムトゥーオオサカ!」だけで毎回乗り切っている。
しゃーないやん、国文学専攻やで?原文で源氏物語なら読めますけど?と心の中で言い訳をしてきたが、港区長になって万博もあって、本当に英語だけは若い時に身につけなかったことを後悔した。
『英語耳』という本を港区長2年目の時に買って勉強しかけたが、本についてるCDをスマホに取り込むのが面倒で放置したまま任期が終わってしまった。
大阪港に向かう車から、西成区のモスクが近いので大勢のイスラム教徒が道にあふれていた。彼らが日本で学び、働き、言語を超えて仲間をつくるための日本語指導が必要になる。同郷で固まりたい気持ちはわかるが、相互理解は必須だ。日本語教師養成の学校にも、4月になったら話を聴きに行く。
クルーズ船では笑顔のスタッフが出迎えてくれ、通訳の方がいなければ半分ぐらいの単語しか聞き取れず、できるだけ目と表情で親愛の情を示すよう努めていた。
ゴージャスなレストランがいくつもあり、プールがあり、ジムがあり、ブランドショップが並んでいた。別世界。360度ぜんぶ海を航行した時の景色は、どれほど素晴らしいんだろう。
船は大きく、一望するには海側から観るのがよい。無料の渡船に乗ってきた課長から、いい写真をもらった。私もサンタマリア号の3月末までの無料チケットがあったので乗るつもりだったが、タイミングが合わず持ち越しとなった。
乗りそびれたのは、クルーズ船の乗客やクルーが下船後にどんな行動を取るのか、ターミナルで観察していたからだ。
すでに乗客のほとんどは京都か神戸に出かけ、あるスタッフは道頓堀への行き先を聞いていた。近場で楽しみたい人に、おすすめのコースを港中と築港中の生徒が作ってくれた。そのチラシを置く場所をイメージして帰った。
次の予定は東心斎橋の不動産屋で、オフィス用物件の契約だ。保証人でもあるゆる夫も同席というので、数日前から伝えていた。
14時、まだ来ていないので先に店に入る。
14時過ぎ、来ない。
LINEには「カギかかってるねんけど」とある。違う不動産会社のドアを叩いているのかと、外に出ても姿が見当たらない。「どこ?」と尋ねると「(借りた物件の)ビルの下」と返ってきた。
ああ、もう。情けない。
今朝も「(不動産屋の)事務所で直接待ち合わせね、車停めにくい場所やから早めに来た方がいいよ」「(弁天町の)コインパーキングわりと埋まってるからな」と一見かみ合っているようで全くすれ違っていたことがわかり、憂鬱になる。
遅れてきて「住所も知らされてへんし」とキレ気味だったので、LINEの履歴を見せた。メールの転載に住所を入れ、さらにその後に「東心斎橋の事務所で契約だから」と私が別にメッセージを付している。
はいはい、前日にもう一度確認しなかった私が悪かったんですね、こんなことの繰り返しが25年、そりゃネタにでもしないとやってられない。
彼の美質は後腐れのないところなので、ポンポンとハンコを押し、2人で東心斎橋のホストの看板にツッコミを入れながら遠くのコインパーキングまで歩いた。
私は契約書の業態が「スナックのみ」となっているので、「オフィスがメインで、スナックは開業届は出すけれど本格的にやる気はないんです」と担当者に念を押す。
自分がやろうとしているものが、その業界にあまりないケースには慣れているものの説明が難しい。本棚だらけになること、昼間は執筆や打ち合わせをしていること、夜に週2ぐらいでテーマ型の集まりに使うことを伝えて、なんとなく理解してもらった。
そして何がなんでもカギを29日にはくださいとお願いし、27日には手に入りそうだ。防犯上は前の店主が合い鍵を持っている可能性もあり、カギの交換をして区長室の蔵書と書類を運び込む、チキンレースのようなスケジュール。
ただでさえ模様替えで満杯の家に、これ以上の段ボール箱は持ち込めない。
帰って16時過ぎ、やっと時間ができた。こんまりのドキュメンタリーを観はじめ、気がついたらコタツで寝落ちしていた。関節も痛むので、少し休ませてもらう。
20時前に起き、洗濯機を回しながら中学生が作った港区ツアーのチラシを作り、Claudeに突っ込んで英訳してもらったのを整え、1時半までかかってやりきって寝た。
あと10日。

