自転車で出勤するのも最後かもしれない。やっと暖かくなって気持ちいい。
午前中は新区長と1対1で引き継ぎをする。「区長室は1日までにキレイになってますので!ビフォーを見ておいてください!」と開き直って、惨状をそのまま見ていただいた。
新しい広報紙も刷り上がって、表紙で新しい区長が微笑んでいる。こうして新たな扉は開かれていく。春。
合間に今年度で退職される校長先生たちが挨拶に来てくださる。この4年間の思い出と、これからの健康と再会をお互い約束して別れた。
校長になりたくて大阪市に入り、区担当教育次長という形で学校に関われた。おこがましくも学校や校長先生を評価する立場になったが、ベテランでも学び続ける校長先生達に出会えて、勉強させてもらった。
私も負けないよう、文科省の動向やいろんな学校の取り組みを調べ、本を読み、区内の校長先生達に情報提供をしていた。時々、防災やキャリア教育の授業をやらせてもらえたのが嬉しい思い出になっている。
お昼は隣のローソンで、わりとよく食べていた「明太子と高菜のだし巻き卵弁当」を買い、何度も食べてるのにコンビニのレンジで500Wの分数でたっぷり温めてしまい、ヤケドしそうな弁当を食べる羽目になった。疲れている。
午後には、総務課長と港区の土地区画整理事業の旗振り役であり、長く港区の地域のリーダーであった武智会長にご挨拶に行く。
顔を見せたことをとても喜んでくださった。「これからも港区にいてほしい、他所に行ったらあかんで」とおっしゃるので「近くにいる予定です」と伝える。着任当時はよく怒られたが、そのことも含めて笑って話し、握手をして別れた。お元気でいてほしい。
区長室で片づけに本腰を入れる前に、最後の「区長室だより」を書く。先日作った「ストーリーで学ぶ 企画から始める広報戦略」を添付した。
最近続けていたミセスの曲から仕事の話をするコーナーでは、昨年の3月にも取り上げた「StaRt」を取り上げた。
♪幸せな時間を どれだけ過ごせるかは 微々たるものでも 愛に気づけるかだ さぁ 試されよう♪
この1年をいろいろあったけど、しんどいこともあったけど、仕事がんばって、誰かと笑いあって、良かったやんと「愛」を見つけて締めくくってください、人生の編集長は自分だから、とメッセージを送った。
それは私も同じで、100日日記にはこれでも書かない・書けないことがある。同じ1日でも最悪にも編集できるし、ハッピーのかけらを集めて満足して眠ることもできる。
試されてるなぁ、と、毎日日記を書く度に思う。
職員向けメールで毎月、仕事に役立つ本やドラマを紹介してきたが、やはり私は「こどものために」行政に来たので出たばかりの『結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中日記』を紹介した。
殺したかったわけじゃない。夫のDVでまともな判断力を失っていくプロセスが、当事者の言葉で綴られている。辛くて最後までまだ読めていないが、区役所の仕事がセーフティネットである確認になればと紹介し、全職員にメール送信した。
送ったのは終業近く、届いた区長室の外の課長から「片づけ大丈夫なんかな」と不安の声が聞こえて笑ってしまった。
片づけより、伝えても伝えてもまだ足りない。あとは最近、担当者と話していて浮かび上がった「一時保護所でスマホが使えないから、保護を拒んで虐待に甘んじている中高生がいるのでは?」という問題提起を関係者に送り、乱れた部屋をそのままに自転車を漕いで帰った。
息子を連れて、塾の無料相談に行く。体験授業の予約だけのつもりが、1時間近くかかった。結論だけ聞きたいのに、自分エピソードや事例から話が始まり、うねうねしてやっと本題に入る。
似た話し方をする人を何人か知っていて、時間のある時なら面白く聞くが多忙のタイミングでちょっと辛かった。
「あとM塾ではこうですが、ウチではこうです」を連発するので、その塾で国語講師をしていましたよと伝えてしまった。疲れていて、黙っておく胆力が無かった。
それにしても、当たり前だが区役所で上がってくるしんどい学校や家庭の話とはほど遠い、教育サービスの話。
最後に塾にいたのは20年ほど前だが、公立小学校と区役所に行ったことで視野が広くなり、私自身が1番成長させてもらった。
そして、どっちも知っている強みもある。やはりどこかの塾の現場に、夏休み講習だけでも行きたいな。ショート動画世代に、私の授業はまだ通用するだろうか。
息子は後日、体験授業を受けることにして2人で自転車を並べて帰った。
晩ご飯はラーメンで、またゆる夫は各自に袋めんを選ばせてバラバラと作っていた。私が食べる頃にはこどもたちは食べ終わっている。
夕食中に、家の下まで不動産会社が届けてくれて弁天町の物件のカギをもらった。明日、荷物を運び込める。よかった。
「ばけばけ」の最終回を観て、ドラマの懐かしいシーンと一緒にこの半年も思い出され、家族4人で毎日こうして朝ドラを見てささいな会話を交わしている「微々たる愛」にも気づかされて泣く。
しかし「毎日の難儀」は続いており、深夜まで子どもの書類を書き、自営業関係の書類を書いて、疲れ切って寝た。
あと5日。

