2026年3月30日(月)

ラスト2日。夜に小さな送別会があるので、電車で行く。天気がよく、コートがいらなくなった。信号待ちの時に、思わず青空を撮る。区役所までの道、磯路公園からミセスの「ニュー・マイ・ノーマル」を聴くのが一時期のルーティンだったので、再生する。

♪ 私色で彩って 誰とも比べないスタンスで ある日突然花が咲いたらラッキー そんな調子で生きろエブリデイ ♪

 そう言えば、朝はこども達と新しい朝ドラ『風、薫る』で流れるミセスの新曲を聴いた。もう他の区や誰とも比べられない新しい日々が、始まる。

 職場に着いて、霜取りをしていた部屋の冷蔵庫に駆け寄る。でっかい氷が、冷凍庫から外れていた。床が濡れないように新聞紙やビニールでガードしていてよかった。水と共によたよた運んでいるのを職員が助けてくれて、流しに持っていくことができた。冷蔵庫はキレイになり、次の区長に引き渡せる。

 書類の分類がまだ残っているが、メールの整理もしなければならない。31日で中を見ることもできなくなる。お礼のメールを出す人を、送信済みトレイの古い方からずっとたどっていく。

 2017年から、そんな時代もあったねと中島みゆきが頭に流れる中で、いちいち止まってしまう。手元の「メールを送るべき相手」のメモがA4いっぱいになっていく。

もう少し前から、整理しておくべきだった。書類は山積みのまま、メールソフトから離れられない。

 学校再編で反対する地域の人とのヒリヒリするようなメールのやりとり、市会の質疑調整、内部の仕事の押し付け合い。読んでトラウマを喚起されている場合ではないのに、ハードな日々のおさらいをしてしまった。これ、2025年まで終わらせるの難しくないか。

 2019年3月23日、鶴橋中学校の閉校式の吉田校長先生の式辞を読んで泣いたりしてる場合じゃないのに泣く。子どもたちに、苦渋の決断の裏に教職員・PTA・地域・市教委・区役所の愛を語ってくれていた。初めての学校再編だった。

 いかん、もう泣いてる場合じゃない。まだ2019年、絶対に終わらない。コロナ禍に入ったところで、諦めた。

 合間に、女性で防災リーダーをされている方が区長室に来て手紙をくださった。男尊女卑傾向の地域活動の中、女性区長であることを喜び、がんばろうと思ってくださった女性がいたことに自分の存在意義を感じた。

 私もまた、来年からは浪速区のPTAで地域活動ど真ん中に行く。そう言えば、地元も区長が女性でよかったな。

 お昼は、ゆる夫にカレーを詰めてもらったのをメールをスクロールしながら食べる。決裁もパラパラと来ている。

 しばらくして、公用車で本庁に向かう時間になった。職員に来てもらって、この4年間、公用車を運転してくれた主任と写真を撮ってもらう。

 区長の移動や職員の移動で、専用ではないが公用車がある。電車移動より合理的な場合に使うだけだが、部会長をやっていたので本庁(市役所)に行くことも多く、よく乗せてもらった。

 2人だけで乗る時は、特に港区に来て最初の2年は孤独だったこともあり、たわいもない話から「港区こうしたいねん」という話をよく主任に聞いてもらった。穏やかな聞き上手で、他の職員からも人気がある。本当に救われた。

 本庁で降ろしてもらい、最後の市の会議に向かう。よりによって「学校適正配置審議会」だ。生野区の地域代表の方が、小さく手を振ってくださった。

 会議は事前に質問調整も済ませており、段取りから大きく外れず進んでいく。まだまだたくさんある小規模校の再編について、元校長・実行者たる区長・小規模校の現PTA・地域のすべての立場から話せる。跡地活用は、国交省のワーキングで役目を果たしている。ああ、その質問に答えたい。この事例を教えたい。

 事務局側なので差し出がましいこともできず、特に振られず、言いたいことを押し込めるだけのストレスフルな会議だった。でも、これでいい。去る人間なのだから。4月になったら言いたいことは全部、書籍にまとめる。

 再び区役所に戻り、お別れメールの文案ぐらい書こうかと思ったところで送別会に行く時間になった。近所なので総務課長と出かける。港区を愛する、役所も知る人と日本酒を交わしながら、楽しい時間を過ごした。

 地元に根を張ってまちを変えようとする人を尊敬するし、組織で精一杯引き継ぐのが地元の方への礼儀だと思う。

 「梵」や「獺祭」が出てきたのもあって予定より多めに飲んでしまい、22時前に区長室にそっと戻る。まだ別のフロアも電気がついており、みんな片づけに追われているようだ。

 ここから徹夜する覚悟で片づけるか、お別れメールを出そうと思ったが、酔いで昨日の日記を書くだけで疲れてしまった。諦めて区長室を閉めて帰る。

 帰ると、息子が物言いたげに待っていた。そうだ、塾の体験に行ってたんだった。

「どうだった?」と聞くと、言いにくそうに「個別指導、ちょっと苦手かも」と返ってきた。じっと見られながら問題を解くのが苦痛だったようで、彼の性格ならわからないでもない。

 塾の営業をやっていた身としては、昨日ていねいに説明してくれた塾長に悪いなと思うが、無理して行かせても意味がないので「ほんなら、スマイルゼミを本気でやるのと、オカアチャンが勉強みたろか?」と冗談まじりに言うと、「オカアチャンの方がマシかも」と若干失礼なこと言って笑った。

 夏休みまで塾無しでやってみて、アカンかったらもう一回考えようと話をまとめた。ゆる夫はイヤホンをしてYouTubeを見ていて、結局は意思決定をすべて私に委ねている。職場の管理職は終わるが、家でもマネジメントの日々は変わらない。だるいな。

 早く寝なきゃとわかってるのに、想いが巡って眠れない。

あと2日。

 

地域の方がくれたカード、感謝状が泣ける。うれしい。